7ちゃんねるーふみねぇ支店

アラサーニートのよしなしごと

呟き152:これまで作ったパンについて語るだけ

 

パン作りが趣味になったのは、社会人になってからだ。

大学時代は授業がない日は基本的にバイトをしていたので、社会人になってから土日が急に暇になった。

学生時代は仙台でも名古屋でもパン屋のバイトでしており、経験はのべ3年ほど。

多少の技術はあるので「作ってみるかあ」と簡単な丸パンを作ったのを皮切りに、気づいたら暇なときに作るようになっていた。

 

今まで何種類作っただろう。列挙してみようかな。

 

基本のパン

1,丸パン

パンの基本。これを発展させるとハンバーガーのバンズとか、コッペパンになる。コッペパンは焼きそばパンにしたり、たまごサラダを挟んだり。バーガーで作ったことがあるのは、ハンバーガー、コロッケバーガー、海老カツバーガー、スラッピージョー(ミートソースを挟んだハンバーガーのこと)

 

2,ロールパン

実はパン屋時代は一度も作ったことがなかったので、ネットで作り方を調べました。形がかわいいというか、整形している感、さらに言うと「パンを作っている感」があって楽しいので割とよく作ります。

 

3,アンパン

手作りだと最強に美味しい。あんこのぎっしり具合はもはや大きなお饅頭かもしれない。焼きたての幸福感は格別。あんこはこし餡一択です。流石にあんこは買ってます......

 

4,メロンパン

みんな大好きメロンパン。リクエストを取るとほぼメロンパン食べたいと言われる。メロンパンなんて手作りできるんか?という好奇心だと思っている。何度も作っている割に、毎回「クッキー皮が崩れた」とか「形がよろしくない」とか反省しか浮かばなかったりする。ちなみにチョコチップメロンパンも作るよ。皮にも生地にもたっぷりチョコチップ入りのデラックス仕様です。

 

5,ジャムパン

永遠の宿敵。「コーンスターチとジャムを混ぜる」という発想がなかったせいで毎回吐血させていた。でも別にめちゃくちゃ好きなわけじゃないのでまあそのうちリベンジする

 

6,クリームパン

カスタードクリーム、というかフラワースプレッドは見よう見まねで作れるので、やろうと思えば作れるのだが、なぜか作ったことなかった。で、作ってみたんですが。うーん、要練習かも

 

7,チョココロネ

パン作りを始めてすぐにチョココロネ型を買ったので、初期はよく作っていた。ただ、別に好きでもないので最近全然作らない。発酵途中に生地が解けてくるのでなかなか難しかったりする。ちなみにチョコレートクリームは適当に自作する

 

8,葡萄パン

シンプルにおいしい。作るときは干し葡萄を一晩ブランデーに漬けています。なんとなく。ロールパン型にしてみたり、紐ねじり風にしてみたり、一番整形で遊ぶパンかも

 

9,くるみパン

くるみをたっぷり入れて作ります。これもシンプルにおいしいパン。ハサミで十字型にカットする整形が好きです。これぞくるみパン。

 

10,チーズパン

ふみねぇのチーズパンは、とろけるチーズをたっぷり包んだ上にさらにチーズをかけて焼いた丸パンです。これ、シンプルにめちゃくちゃおいしい。我ながら傑作。とくに焼きたては最高。とにかく黙って食え。

 

11,チョコパン

シンプル過ぎて一周回ってあまり作らないパン。チョコチップ高いし。友達に頼まれたときくらいしか作らない。でも作ると普通においしい。シンプルにめちゃくちゃおいしい。チョコは強い。

 

12,ウィンナーパン

生地をくるくる巻く系の整形って地味に難しいんだよね。でもおいしいよね。ケチャップとマスタードがポイントです。

 

13,シナモンロール

最近作るようになった新顔。ほんのりシナモン風味がおいしい。ただ、シナモンの加減がまだいまいち掴めず、まだまだ練習中といったところ

 

14,創作パン

にんじんパン

中にクリームシチューが入ったにんじん型のパン。昔とある絵本(『からすのパンやさん』ではない)に出てきたパンを我流で作りました、というもの。一応生地にすりおろしたにんじんを混ぜているけれど、ぶっちゃけにんじん風味は特にない。中のシチューがおいしい。あと、葉っぱ部分には偶々あったあおさをかけているのだが、これもアクセント的な感じでおいしい。

単発ネタかと思いきや、リクエストがあり2回ほど作りました。

 

味噌パン

味噌の賞味期限が近かったときに味噌とバターをたっぷり入れて作ったパン。まあまあ美味しかった記憶がある。

 

15,食パン

元々食パン専門店で働いていたこともあり、やっぱり作れるようになりたかった食パン。序盤に粋がってブリキ型を買ってしまったことから始まり、オーブンの高さも温度も足りずに、きちんと焼けるようになるまで何度も失敗した。新しいオーブンを買ってブリキ型の焼き固めをし(こうしないとパンが型にくっついて出てこない)、オーブンについてきたレシピで作ってようやく成功した。チーズを入れたチーズ食パンや、くるみを入れたくるみ食パンも作ったりした。一応、蓋も持っているので角食を作ることもできるのだけれど、何となく大きいパンが焼きたくて山型ばかり作っている。そのせいで、高さが揃わず、サンドイッチは作りにくい。

 

揚げパン

16,カレーパン

これもめちゃくちゃ得意。ちゃんとドライカレーから手作りしてます。具材がゴロゴロしてて食べ応え抜群。ただ時間を置くと流石に重いので、揚げたてをすぐ食べてほしい。ちなみに、カレーはいつもバーモントカレーの甘口です。

 

17,あんドーナツ

あんを包んだ生地を焼けばあんぱん、揚げればドーナツ。これもなかなかおいしいよね。

 

18,ドーナツ

一時期どーしても食べたくて作ってみたけど、なんかしっくりこなかったので以来作っていない。というか、パンドーナツよりケーキドーナツの方が美味しいんだよね、結局。

 

ハード系

19,フランスパン

ぶっちゃけそんなに好きじゃないんですよ、ハード系。フランスに行ったときの朝ごはんがフランスパンだったので、まあまあおいしいな、とわかってはいるのだけど、買ってまでは食べない的な。そして、パン屋時代も作ったことがなかったのでノウハウがなかった。前の仕事柄、2回ほど整形体験させてもらったことがあるのですが、技術がなくてうまくできませんでした。

なのでマスターする気はなかったのですが、知り合いに頼まれたがきっかけで作りました。

材料は基本のパンに比べてとってもシンプルです。粉(このためだけに富澤商店でリスドォルを買ってます)、イースト、水、塩(モルトは確実に持て余しそうなので使ってません)。砂糖や牛乳、油脂は使いません。発酵恐ろしく時間がかかります。が、焼きあがってみると案外風味豊かでおいしいです。気づいたらもそもそとあっという間に食べてしまう。こはるちゃんが内祝いでトリュフオイルをくれたので、それをつけて食べるのが好きです。

 

20,ベーコンエピ

フランスパン生地を使って作ります。近所のスーパーで大きなベーコンが売っているので、分厚く切って入れます。毎回もそっとした見た目になるのが悔しいのですが、食べ応え抜群です。

 

21,塩パン

フランスパンの生地の残りで戯れに作ってみた。おいしいんだけど、これを作るならゲランドの塩的な、粒の大きな塩がほしいところです。でも、フランスパン生地を作るのがそもそも手間なのでなかなか作れずにいます。

 

 

その他のパン

22,クロワッサン

これも食パン並みに何度も失敗した。原因は作業環境の温度の高さと、オーブンの温度の低さ。初めて作ったとき「スーパーで6個入りくらいで売ってるしなしなのクロワッサン」みたいな代物ができたので、「コスパ悪」と思って諦めていたが、これも例の知り合いに頼まれたのがきっかけで再挑戦。マーブルプレートとオーブンを変えて初めて作れるようになった。それでも夏場だと作っている途中にめちゃくちゃバターが溶けてきて失敗したので、冬限定かも。整形が楽しい。

 

23,ピザ

新しいオーブンを買ってきて、初めて作れるようになった(高温で焼かないといけないから)

オーブンのキャパ的にSサイズしか作れないのが玉に瑕だけど、トマトも玉ねぎもチーズもどっさり乗せて作ります。

確かにパンを作るより発酵時間はかからないけど、言うてちょいちょい作るかと言われたら、微妙。

 

という訳で全23種類でした〜。ハンバーガーやコッペパン系、サンドイッチなんかの惣菜パンを1種類(料理)扱いしたら、作れるのは30種類くらいなのかな。こう考えると、3年間で色々作ったものね。

菓子パンが多いのは、作ってて楽しいのと、適度な時間で完成すること(でもトータル3時間くらいかかる)、材料がシンプルで思い立った時に作れるからです。
強力粉、イースト、無塩バター、砂糖、塩は基本的に常備してるようにしてるだけなんですけどね。あとは「チーズがあるからチーズパン作ろ〜」みたいな感じで作ってます。

 

最初は製菓用無塩マーガリンを使っていたのですが、バターの違いで味がもろに変わることがわかり、バターを買うようになりました。少しでも安く買える店を求めてスーパーを彷徨ってます。

バターに切り替えた始めのうちは、塩を後入して調理用としても使っていたのですが、やっぱり食べる分や料理に使う分には加塩バターの方がおいしいのと、無塩バターが高くて勿体無いので、両方常備するようになりました。

 

最後に、実はまだ作ったことがないパンを紹介して終わります(言うてそこそこある)

 

ベーグル

なんで、だろう、ね。バーガーブームのときにもここには至らなかったんだよね。何でだろうね、うん。別に作ろうと思えば多分作れるよ。茹でて焼けばいいんでしょ。

 

ポンデケージョ

オーブンについてきたレシピが「タピオカ粉」を要求しており、方々の輸入食品店を探したものの見つからず、断念してそのままになっている。モチモチ感が出せれば良いだけの話なので、日本だと白玉粉なんかで代用できるそうです。でもまだ作ったことないです。

 

ディニッシュペストリー

クロワッサンと似たような感じで作れるのだろうけど、クロワッサン生地を作るのがそもそも手間だし、そこまではいいかな〜って感じ。うん。砂糖もバターもたくさん使うし。

 

ドイツパン

パンを作るのは好きだけど、別にパン屋巡りは好きではないんだ。(高いから)だからあまり食べたことがなく、馴染みもないので特に作っていないだけ。

 

チャパティ(ナン)

ナンはタンドール(窯)を使って作ったものだけを指すので、家庭レベルだとチャパティになる。凝ったカレーを作らないから、作らないだけかも。

 

ピロシキ

最近職場の人に「ピザ(生地)を包んで揚げたらピロシキ」ということを教えてもらった。そのうち作るかも。でも最近油が高い......。

 

以上です。

パン作り大好き!

呟き151:宮城旅行に行った話(準備編)

 

仙台の大学にいた頃に所属していた文芸サークルの友人I氏から、同じサークルメンバーであるA氏が「9月の三連休に仙台にくる」という話を聞いた。

面白そうなので、時期を合わせて仙台に行くことにした。

 

私は仙台のことを勝手に「第二の地元」だと思っているので、1,2年に一度は遊びに行っている。前回行ったのが昨年の10月なので、およそ一年ぶりだ。

学生時代はお金も車(で移動できる術)も時間も何もかも足りなかったので、3年住んでいた割にあまり観光らしい観光をしてこなかった。

時間と財力を手に入れた今、「友達とベタな宮城旅行をする」というのがここ数年楽しみだったりする。

 

初日、の話をする前に私の旅行に対するスタンスをお話ししておこう。

一言で言うと「なんとかなる」

つまりどういうことなのかというと、

「日程だけ空けておき、基本的にギリギリまで交通手段と宿を手配しない」

というものだ。人によっては卒倒するような計画性のなさだ。

一応言い訳がある。

「自由に予定を組んでいいタイプの旅行において、自分で制約を作りたくないから」だ。

 

例えば、とある観光地に行くとする。

基本的に初めて行く場所のことが多い。インターネット上に情報はごろごろしているが、そこが「楽しくて楽しくて遊び尽くせない」ところなのか「思ったより楽しくなくて一瞬で終わってしまう」場所なのかは実際に行ってみるまでわからないと思っている。

「ここで⚪︎時間過ごそう!」

と決めて次の予定を決めてしまい、「もっとゆっくり遊びたかったな」とか「何して時間を潰せばいいのよ」というのが嫌なのだ。

 

宿泊地も然りで、地理が不案内なまま宿だけ取ると「思っていたより遠い」とか「意外とその距離なら移動してもいいな」という見極めが地図だけではできない。

 

また、日程が近づくにつれて突発的に「あそこに行きたい」「あの人に会いたい」という予定を入れるゆとりを残しておきたい。

 

そんなこんなで新幹線を取ったのは前日、宿に至っては宿泊場所を決めないで旅行に向かった。決して辺境の地に行くわけではないのだから、最悪どうにかなるだろう。

 

大学生の頃、夜行バスには散々お世話になったが、社会人になってからは乗りたくなくなった。国内旅行の手段としては新幹線が一番好きなので、新幹線で行くことにする。

仙台に行くのに、選べる新幹線は二種類ある。やまびこと、はやぶさ(こまち)だ。

はやぶさの停車駅は東京、上野、大宮、仙台。途中の宇都宮、郡山、福島を通過するため到着時間も短い。難点は全席指定席な点だ。

対するやまびこは自由席があり、お財布に優しい。が、学生時代に一度乗った際に、途中駅で何度も停車するのにうんざりしたことがあり、以降はやぶさを愛用している。

 

早く取らないとな〜と思いつつもつい前日になってしまった。「やまびこ」が存在するため、飛行機と違って「行く術がない」という事態にはならないものの、そこは三連休。ほとんどの座席が既に埋まっていた。

奇跡的にちょうどいい時間の「こまち」に空きがあり、その席を予約することができた。

こまちは秋田新幹線の車両なのだが、盛岡までははやぶさに連結されているので仙台より北に行かない人にとってはほとんど同義である。


さて、仙台には午後一で着けばいいので、支度もゆっくりでいい。朝5時台に目覚めたので久しぶりにパンを作る。今日は葡萄パンとあんパン。せっかくなので葡萄パンはかわいい整形にしました。

 

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私は寝起きがいい方なので遅刻の理由が「寝坊」であることはあまりない。が、基本的に待ち合わせはバチバチのオンタイムか少々遅刻、というパターンが多い。

 

なぜ遅れるのか。

 

時間を読むのが下手くそだからだ。多分一生直らない。薬を飲んでも治る気配がないので若干諦めている。

 

この日も、パンが焼きあがった後、ベッドの上でしばらく「虚無」の時間を過ごした。

 

家を出る予定時刻は余裕を持って9:30。

出かける準備は10分くらい、と思っているので(出来た試しがない)20分を過ぎても動かない。大体、30分に出れば「余裕」なのだから30分に出る必要はないのだ。

 

25分を過ぎた頃にのろのろと重い腰を上げて鞄に荷物を詰め始める。国内旅行だし、足りないものがあれば現地で買えばいいだろう。その割に、意外と手間取ってしまう。いつものことだけれど。

 

40分になる。10分ならリカバリーは余裕のはずだ。45分くらいに出られれば上出来。

 

結局、家を出たのは50分だった。駅まで自転車で10分程度。50分台の電車に乗れば20分台の新幹線なら乗れる。

そこでやっと「新幹線の駅まで電車で20分」という事実を思い出す。もしかしてやばい?

 

自転車を一生懸命漕ぐ。

改札内の電光掲示板を見ると、電車の発車時刻は10:01。ああ、どうだろう。間に合うかな、これ。というか、新幹線の発車時刻がうろ覚えだったな。怖いので電車に乗るまでチケットは見ないことにする。

一応、新幹線乗り場に一番早く移動できる車両に乗ることにする。

着予定時刻は10:21。よかった、途中駅で停車するタイプの電車ではない。

恐る恐るチケットを確認すると、発車時刻は10:26。

 

5分あれば、いける。

 

という訳でチケットとSuicaをポケットに移動させ、改札を抜け、ダッシュで新幹線の改札へ向かう。

一度、乗り場を間違えて東京方面に行ってしまい、指定席をパーにして大宮を過ぎるまで立ち乗りする羽目になった長い過去があるので、乗り場をきちんとチェックしつつ、ホームに向かうと、ちょうど新幹線がホームに滑り込んでくるところだった。

相変わらず危ない橋を渡っている。

 

何となくうとうとしていたら仙台に着いた。

 

そんなこんなで、私は1年ぶりに仙台にやってきたのである。

 

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呟き150:関係者以外立入禁止

 

基本的に建物にはどこに行っても必ずある

「関係者以外立入禁止」

この表示にすごく惹かれてしまう。

 

無断で立ち入るなんてもちろんしない。「関係者」になって「誰もが立ち入れない」場所に入りたいのだ。

百貨店のバックヤードとか、ビルの奥の事務室とか、レストランの厨房とか。

 

照明がちょっと薄暗くて、モノが雑然と置かれていて、一部の人間だけで共有されたルールで回る内輪の世界。

 

元々目立ちたがり屋だったのだが、成長するにつれて「裏方」の方が楽しいんじゃないかと思うようになってきた。

裏方、というか、「お客さま」としてただサービスを受けるよりも「サービスを提供する側」に回るのもなかなか楽しい気がする。

サービスを受ける側にも提供する側にも簡単になれるのが、大人の楽しいところだ。

 

「縁の下の力持ち」とはよく言うが、言うほど裏で支えるなんて思っていない。

裏方の仕事って、楽しいじゃない。

 

まあ、バックヤードに入ることと裏方に回ることって厳密には違うことなのかもしれないけれど。

呟き149:結婚相談所に行った話

 

一年前だか二年前だか定かではないのだが、一度結婚相談所の門を叩いたことがある。

 

結婚したくてたまらなかった、というよりは「年齢的アドバンテージが高いうちに一通り経験しておくのも悪くないのでは?」と思ったからだ。

一応、街コンも何度か行ったことがある。永遠に自己紹介を繰り返しているような感覚で、もういいかなと思ってしまった。

 

その結婚相談所は高学歴とか高収入の会員しかいないのがウリだった。マッチングの一環としてワイン会をやっている、というのに惹かれて話を聞きに行くことにした。

ちょっと気取ったレストランでフレンチとワインのマリアージュを楽しめるような相手が欲しい、と少しだけ思っていたのだ。

 

銀座のビルの一室にある事務所に着くと、白を基調としたかわいらしい内装。昔勤めていた結婚式場を思い出した。

 

コーヒーを出され、システムを説明される。

細かいシステムも料金体系もちっとも覚えていないが、ネットで検索して出てくる結婚相談所に比べると多少安価な印象ではあった。

 

私は実際にぶつかったり経験しないと何事も判断できないタイプなので、「好きな男性のタイプは?」とか「結婚相手に譲れない条件は?」と聞かれた際に、一見好みに幅があるかのように答えてしまう。

「身長や年収に特に希望はありません」

「長男が嫌だとは思いません」

「喫煙者でも構いません」

 

そもそも、好きな芸能人がいないのはテレビを見ないから知らないというだけなのだ。担当者に割と執拗に聞かれて、とても困ってしまった。

 

担当者に、気になっていたワイン会の話を聞いたところ、担当者がワインを知らな過ぎてどことなく噛み合わない。(私もさほど詳しいわけではないのだけど)

 

終わりしなに、ひとまず「年齢±5歳」「趣味は読書」という男性会員のサンプルデータを見せてもらった。

正直、身上書ひとつでその人となりがわかるわけではないのだが、好きな本のジャンルが明らかに合わないんだろうな、ということはわかった。

 

正直、入会金も年会費も、即決で出せない額ではなかった。が、一旦話を持ち帰ることにした。

 

帰り道、もらった資料を見返しながら考える。婚活市場において、「年齢のアドバンテージ」という「一点」において、恐らく自分は引く手数多なんだろうな、と思った。単に当時の自分がちょうどよく「若い」からだ。

「会員の中から選ぶ」という選択肢しかないのだし、何年も何年も続けるものではないのだから、恐らく選択肢の中で良さげな人を選ぶことになり、トントン拍子に結婚に至るのだろう。(「結婚」目的の出会いですからね)

 

そんな人生が見通せたときに、「正直自分にはまだ早いな」と思った。

結婚してしまえば、人生は自分だけのものではなくなる。

当時は会社を辞める気なんてさらさらなく、むしろ「有職者である」という自分の立ち位置に胡座をかいてすらいたのだが、とにかく結婚相談所に入会して、「誰かと歩んでいく人生」という方向に舵を切るのは今ではない、と思ったのだ。

 

そして、それから一、二年の間に、何度か「人生の舵」を切る機会に見舞われ、その度に「結婚」や「出産」から遠のいていくのを感じる。恐らく、どちらも三十代になる前に経験することはないだろう。

友達の結婚報告や妊娠報告を見て、少し羨ましいと思いはするし、アラサーニートという自分の立ち位置に対して焦りを感じることもある。

 

けれど、私はまだ、自分のしあわせの軸を自分の手で叶えられる範囲に置いていたい。

ほら、ことわざでもこう言うでしょう。

「果報は寝て待て」って。

 

 

 

呟き148:真夜中のセミファイナル

 

 

8月も中頃の話だ。

 

深夜に帰宅し、家の鍵をあけようとしたところ、ポーチライトから

ジジジジジ!!!

 

と大きめの羽音がし、裸の腕に何かがぶつかった感触がした。

「!!!!!!!!」

 

声にならない悲鳴をあげて、思わず後ろに後ずさる。しばらく飛び回っていた「それ」はやがて大人しくなった。

 

私の家の玄関の真前で。

 

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私は知っている、それが本当の「最期」ではないということを。

だからこそ、仮に扉を開けたときに間違って家の中にでも入ってしまったら、それこそ失神ものだ。虫とはできる限り関わらないで生きていきたい、それが私のポリシー。

 

さて、このセミ、一向に動く気配がない。

仰向けにひっくり返っているのだが、ポーチライトの薄明かりではその手足が動いているのかどうかもよく見えない。

 

どうしたものかと考えあぐねていると、並びの部屋から他の住人が出てくる音がした。

うちは戸数も少ない小さなアパートなのだが、ご近所付き合いというのは無いに等しい。

 

「こんばんは」

と、会釈する男性。

「こんばんは」

そう返す私。

「このセミをちょっとどこかに逃してもらえませんか?」という言葉は喉につかえたまま出てこなかった。

階段を降りる男性。その背中を見送る私。

 

夏の夜。

 

まだ残暑の厳しい季節だった。

 

夜空に浮かぶ月を眺めながら溜息をつく。

長い棒でも探してきてつつく?

いや、またこちら側に飛んでくるのが怖い。

濁音でしか表現できないような羽音と、腕に当たった感触を思い出して、私は思わず身震いする。

飛び道具なら?

庭先から小石を拾ってきて、セミから少し離れたところに向かって、投げてみた。

お世辞にもコントロールがいいとは言えなかったので、セミは依然としてドアの前でひっくり返っていた。

 

疲れて、朝でドロドロになって帰宅したというのに、私は家に入れない。

シャワーも、クーラーの効いた部屋も、食べようと思っていたアイスも、たった一枚ドアを隔てた先にあるのに。

ひどく泣きたくなった。

 

が、いつまでも入れない部屋の前にいても仕方がないので、近所のコンビニに行くことにした。24時間営業、まばゆいくらいの明るさ、クーラーの効いた店内。

 

妙案が浮かんだ。

「ちょっと若いお兄ちゃんでも捕まえて、タバコ代か何かと引き換えにセミを追い払ってもらおう」

 

が、明らかに妙な「お願い」に違いなかったし、「ここが家です」と知られるのはとてもリスクが高い。

例え何か小さなお礼を事前にしたとしても、「ちょっとお茶でも」という気なんて毛頭ないのに、声をかけるのも何だか変な気がする。

 

コンビニにしばらくいたものの、ノリで「お願い」を聞いてくれそうな人は見当たらなかった。

すごすごと家に戻る。

 

「......! 」

 

何と、セミはドアから少し離れたところに移動していたのだ。

相変わらず腹を夏の夜空に晒していたけれど、最期の力を振り絞って、彼(?)は家の前から動いてくれたのだ。

 

すぐに家に入った。

 

翌朝、ドアを開けるとセミはもうどこにもいなかった。

 

ありがとう、君はそんなコンクリートの上で最期を迎えるべきではない。残りの人生に幸あれ。

 

呟き147:近況報告

 

「最近ブログどうしたの」

と言われたことが何度かあった。こんなブログでも5ヶ月弱くらいほとんど毎日何かしら投稿していたのかと思うとなんだか不思議な気持だ。

 

最近の私は、週に何度かアルバイトのような仕事をし、残りの日をのほほんと過ごしている。

週あたりの出勤日数は結構まちまちで、週4で働くときもあれば週2しか行かないこともある。というか、月の半分は働いていないので、4,5日単位の連休だっていくらでも作れる。唯一のデメリットは、東京で1人で自活していくにはあまりにも足りないというだけ。

 

莫大な休みに何をして過ごしているんだ、というと、実は最近まで特に何もしていなかった。

日がな一日ベッドの上で眠り、眠り疲れたらぼうっとYouTubeでも見て、その他に2,3の漫画アプリなぞ入れてみなさい。4,5日なんてあっという間に溶けてしまう。

 

とはいえ、流石に無限に怠けるためにわざわざ稼げない職に応募したわけではない。この「時間」を捻出することが肝だったのだ。

まあ、応募した当時はまだ先の未来のことなど何も見えていなかったのだけれど、結局そういうことになった。

 

という訳で「学生」になることにした。

期間は1年間、短大の通信だ。今までありとあらゆる通信教育を溜め込んで辞めてきた自分が通信なんてできるのか不安にならなくもないが、正直飛んでいく金額の割にはあまり迷わずに決めてしまった。

目的は司書資格の取得だ。

 

正直、名大で取ることもできたはずだった。

確か、編入友達も司書か学芸員の資格を取っていたような気がする。

「本好きみたいだけど、司書資格は持っていないの?」

とそこそこ色々な人に訊かれるが、正直今まで興味を持ったことが一度もなかった。

「どう考えても食っていける資格ではない」からだ。

 

ネットで調べると、司書の求人の内容はかなり悲惨だ。単に「本に囲まれれば幸せ」と笑って済ませられないほど給料が低い。結婚でもして、パートの延長くらいの感覚ならまだしも、1人で自立した生活を送るにはあまりにも心許ない。

 

だから、人よりも少し図書館に慣れ親しんで生きてきた割には、図書館で働くということにあまり興味がなかった。

 

なぜここにきて、急にこの分野の世界で生きていこうと人生の舵を切ったのかというと、「人生が意外と甘くなかった」ということがわかったからだ。

 

ご存じ、私は究極に「好きなことしか好きではない」人間だ。

一般に「社会でなんの役に立つの?」と言われがちな文学にしか興味がなかったくせに、「自分は社会に出ても有能でいられる」と信じて疑わなかった。

前に勤めていた会社は「仕事中にたまにおいしいものを食べられるところがいい」みたいなふざけた理由で選んだ。

正直、福利厚生にあまりこだわりはなかったし、一度も社会に出たことのない自分は「働く」ということがどういうことなのか、いくら話を聞いても想像できなかったので、「そこそこの給料で働かせてくれたら」割とどこでもよかったのだ(とは言いつつ妙な自分基準があり、本当にどこでもいいとは思っていないきらいがあるが)

 

前の会社は楽しかった。想像以上に「仕事柄おいしいものを食べる機会」というのがあったし、給料的にも、人間関係的にも、非常に恵まれていたと思う。というか、元々辞める気なんてさらさらなかった。

 

が、「社員としてステップアップ」していくにあたり、私は圧倒的に勉強が足りなかった。というより、自分の知識を応用させることができる分野が少なく、自分にとって未知の分野の知識を大量に身に付けないといけない状況だった。

体を使うアルバイトばかりしていた弊害で、「仕事のために勉強する」という発想がなかった私は、休みの日に仕事のことなんて1ミリも考えたくなかった。それでなくても、エンドレスに積み重なるタスクに忙殺されて、プラスアルファを考える余裕なんてなかった。

 

想定外だったのは、自分が営業マンとして自分が思っている以上に「無能」だったことだ。

120%の力を出さないと、周囲が求める基準を達成できなかったのに、60%の出力で日々過ごそうと思っていた。これはひどいミスマッチだ。

「自分は少なくとも営業職としては仕事ができる方ではないんだな」ということが少しずつわかってきた。メンタルが潰れなかったのは仕事を「生き甲斐」にしないようにしたからだ。

 

社会人になり、結局自分の中で「働く」とは「淡々とした日々の営みであるべき」というところに落ち着いた。

基本的に、頑張り過ぎない。常に6割くらいの出力で、淡々と働き続ける。人生は長い。

 

 

話が長くなったが、これからの人生において、「末永く」自分で自分を養っていくためには「自分の1番得意な分野に持ち込んで戦う」くらいじゃないと上手く行かないのだ、ということにようやく気がついた。それくらい、自分は不器用らしい。

 

それでも、前途有望ハイパー超人の22歳たち(なんとびっくり2001年以降生まれときた。もう小1だよ)と闘うためには自分のスキルにちゃんと基準と名前をつけてあげないといけないのだ。

 

ただ、自由になる時間が多いのもまた事実なので、目標は「よく遊び、よく学ぶ」だ。

なんだか小学校の学級目標みたいだな

 

 

呟き146:寿司セトリ(実践編)

 

このブログのホストのなかはらが「修論の口頭試問が終わったからご飯を食べに行こう」と言ってきた。いつ、と訊くと、今日と言う。

時刻は19時を少しすぎた頃、仕事終わり。とりあえず断る理由がない。とんとん拍子で会うことになった。最近こういうことが多いような気がする。

何が食べたいのかと訊くと「炙り縁側」と言う。「炙り縁側寿司」単体が料理として成立しているのは、仙台駅で売っている伯養軒の「炙り縁側寿司」しかない。ということは寿司か、と私が言うと本人は「そういえばそうか」なんてとぼけた返事をした。

 

「ふみねぇがいつも言ってる『近所の寿司屋』に行きたい」

と、中原が言った。

近所の寿司屋、というのは文字通り私の家の目の前にあるこじんまりとした寿司屋のことだ。

一度ブログの記事にしたこともある。

呟き94:お寿司 - 7ch

 

そうかそうか、でもうちは駅から結構離れているんだぜ。

それでもいいというので、とりあえず「近所の寿司屋」に行くことになった。

 

兎角、近ごろは暑くて敵わない。

なかはらが来るまで1時間近くあったので、帰宅がてら寿司屋に顔を出して「後で来ますから」と声をかける。

寿司屋のマスターは私の顔を「ものすごく近所に住んでいてたまに一人で寿司を食べに来るもの好きな女」という認識はしているものの、おそらく名前は知らない。

シャワー浴びて、気まぐれに部屋を片付けつつ、なかはらが来るのを待った。

 

一時間後、「寿司屋が見えた」となかはらから連絡が来たので、外に出てみると、相変わらず猫背で挙動不審ななかはらがいた。

「今家をでたって言うから、また遅刻して来るのかと思った」と軽口を叩くなかはら。

大丈夫。スープが冷めない距離とよく言うけれど、この寿司屋なら、火傷しそうなくらい熱々のスープを届けられるくらいには近い。

 

寿司屋に入る。我々以外にお客さんはいない。

まずはビールで乾杯。お疲れ様でした。

そして駆けつけで炙り縁側を頼む。

 

元々この寿司屋に「炙り縁側」というメニューは無かったのだが、毎回「縁側を炙ってください」と私が頼むので、遂にメニューに入れたらしい。結構評判なのだとか。

ちなみに、何かしらの「炙り」寿司を出している寿司屋なら、頼むと炙ってくれたりする。

 

うん、相変わらず美味しいね。内地で食べる炙り縁側はここが一番おいしいよ。

 

ここは「おすすめにぎり」という、美味しいものが一通り入った寿司を2300円くらいで出しているので、なかはらにはそれを勧め、自分は気の赴くまま好きな寿司を食べることにする。私は炙り縁側以外なら光り物が好きだ。アジとか、小肌とか。

 

報告105: 寿司セトリ(練習編) - 7ch

なかはらは以前こんな記事を書いていたこともあるので、てっきり白身から行くのかと思ったが、思いのほか手前から好きな寿司を食べていたので面白かった。

寿司は、好きなものを食べればいいのだ。好きなものを握ってくれるのだから。

 

このほかにマスターおすすめのイワシや、ゲソ、また炙り縁側、海ぶどうなんかを好きに食べ、それぞれ巻物を食べてフィニッシュした。

とりあえず「回らない寿司屋」になかはらを連れて行けたのはよかった。

 

家の近くに美味しい寿司屋がある、というのはなかなかいいものだ。