最近、なぜか「中学を転校した話」をすることが多いので、ブログに書いてみようと思う。
私は中2から中3になるタイミングで、私立から公立中に転校した。
転校は普通、親の都合とか、いじめなどで学校に行きづらくなって、というパターンでするものだろう。
中2当時の自分がどうだったかというと、結構楽しく中学校生活を謳歌していた。
仲のいい友達もいたし、すれ違っただけで飛び上がってきゃあきゃあ騒ぐ程度の好きな人もいたりした。
正直、そのまま3年生に進級すると思っていた。「来年の担任の先生はこの先生だったらいいな」とか「3年生の学祭の演劇で脚本書きたいな」なんて、普通に夢想していた。
中学は私立の中高一貫だったので、好きだった先輩もどこか知らないところに行くわけではない。
が、3月の末、2週間の修学旅行的な行事から帰ってきた自分に、母親が徐に話出した。
「4月から札幌引っ越すけど、あんたも一緒に転校する?」
私は2つ下の弟がおり、自分とは別の私立中を1月に受験して、落ちていた。
その弟を田舎の中学でなく、札幌の中学に入れよう、という話だった。
その話を聞いて、特に迷いもせず転校することを決めてしまった。
漫画や小説に出てくる「転校生」に憧れていた。
先生の後ろから入って行って黒板に名前を書いて、自己紹介をする。そんな場面を思うとなんだかわくわくした。
人生で「転校生」になれるタイミングなんて、この場を逃したら二度とないだろう。
そもそも、私は私立に入学した時点から付属の高校に進学する気がなかった。
北海道は私立よりも公立の進学校の方が進学実績がいい。そういう話を小学生の頃から刷り込まれていた。
自分は挫折を知らなかった自分は、順調に成り上がっていけるものと信じていた。
私立中は高校受験をしない前提でカリキュラムが組まれているので、膨大な課題を受験勉強と並行してやっていけるほど頭は良くないだろう、と思っていた。
後に高校に入学してみると、中学の先輩が2人入学していたのを知ったのだが、内心ようやるな、と思った。まあ、傍目から見ればこっちの方が異常なのだが。
という訳で、突然転校が決まった。
修学旅行の後は、確か終業式以外登校することはなかったので転校することを伝えられたのはほんの一部のクラスの友達くらい。大半の人には進級してみたら突然居なくなっていた、という状態だったらしい。
後日、転校手続きで学校を訪れた。
ついこの前まで、まだまだ続くと思っていた日常がばっさり終わってしまうなんて、と思うと、何だか不思議な気分だった。
ホールも、職員室も、よく友達とお弁当を食べていたアトリウムも、もう生徒として来ることはない。
アトリウムから、高校のチア部が練習しているのが聞こえてきた。大塚愛の「smiley」だった。今でも、この曲を聞くと、転校した日のことを思い出す。
転校の手続きの帰り道、中1の担任の先生(お世話になっていた)が血相を変えて外に出てきた。
小雪がちらちらと降るような、薄曇の日だった。
先生に事情を話すと、先生(30代半ばの女の先生だった)は私を抱きしめて「転校したこと、絶対後悔させるから」と言った。泣いていた。
「絶対後悔しません」
そう言って出てきた。
まだブーツでなければ歩けないような季節だったのに、「ちゃんとした格好をしよう」と背伸びして履いてきたローファーの足が痛かった。