職場に一人、目を引く美人がいる。
年頃は恐らくアラサーで、歳が近いんだろうなと思う。
初めてその、はっきりした顔立ちをを見たとき「元Juice=Juiceの金澤朋子に似てるな」と思った。実際、よくよく見ると瓜二つというほど似ているわけではないのだけれど、見るたびに美人だな、と思うので心の中で勝手に「朋子」と呼んでいる。
若手〜中堅レベルの職員は、研修に関与しないので、比較的関わりが薄く、努力をしなければ名前もわからないのだ。
一応、今日苗字だけはわかったのだが、下の名前までは知らないし、しばらくの間「朋子」と呼び続けるのだろう。心の中で。
今日、業務中に朋子がちょいちょい話しかけてくれた。恐らく、今日からOJTがつかなくなるので注意していたのだろう。
私が「厳密に言えば客側が悪いけれど、こっちが気づいた方が親切だったよね」的なミスをしたとき、朋子は最終的に「まあ知ったこっちゃねーよ!」と宣った。
リアルの金澤朋子は「暴君」というあだ名の持ち主だ。コテの設定温度を230度にしていたり、「テキトーに」「ぐちゃっと」「ドバッと」という副詞を使いまくって「一本結びのアレンジです」なんて言ったりする。「くるりんぱ」というようなアレンジではなく、本当に髪を生え際でまとめただけの縛り方で、だ。
朋子の「まあ知ったこっちゃねーよ!」発言で朋子のことがめちゃくちゃ好きになった。
「大丈夫?」と私にタメ口で話しかけてくる時点で恐らくアラサーなのは確定だろう。
話が合うのかどうかは知らないが、めちゃくちゃ友達になりたいと思った。
が、朋子は「職員さん」で私は「非常勤さん」。その隔たりはかなり大きい。
ああ、私はどうして非常勤さんなんだろう、と思いながら、帰りに表参道で服を買って帰った。何年も職場で働いているであろう朋子は服もおしゃれなのだ。
あー、職員さんになりたいなぁ。本当。