世にも珍しい2022年2月22日からもう2日も過ぎたというのに、今更触発されて猫の話なんかしてみる。
今は昔、「傍目から見たら学生と変わらないだろ」と我が物顔で東北大キャンパスを闊歩していた時期の話だ。
川内キャンパスには、野良猫が何匹か住み着いていた。
全部で一体何匹いたのかは定かではないが、少なくとも一匹というわけではなかったと思う。
今はもう野良猫を見つけても触らなくなったが、学生時代はよくその毛並みを撫でては幸せな気分になっていた。
図書館の近く、文学棟の裏手に自販機が3台並んでおり、そのうち1台がパンの自販だった。
その自販の前に、彼奴はいた。
座り込んで、私を見上げて、ニャーと鳴いた。
何度も。
「買え」
そう言っているようにしか聞こえなかった。
自販でパンを買うと、猫はまた然にニャーニャー鳴き始めた。
「開けて、食わせろ」と。
まるで化かされているような気分だった。
恐る恐る、ジャムパンだかクリームパンの皮をやる。
食べた。
そして期待の眼差しを私に向けて、また、ニャー、と鳴いた。
こうして半分くらいパンの皮を食べた後、猫はありがとうも言わずに何処かへと去っていった。
嘘みたいだが、これは本当の話だ。