旅をする無限の自由がある。
このまま着のみ着のまま新幹線でも飛行機でも乗ってどこへでも行ける。
だが、行ってどうするという思いもある。
その土地の食べ物を食べたり観光したりすればいいじゃない、という話かもしれないが、悲しいことに見たいものも食べたいものも特にない。
東京なら各地の料理どころか、世界の料理だって食べたいと思えばどこかで食べられるだろう。
郷土料理なんてものは、その土地で食べないと美味しくないと思っているくらいだから、そもそもこれは解決になっていないのだが、正直現状で交通費をかけてまで現地で食べたいほど興味のあるものが一つもない。
とある計画が一つおじゃんになってしまった。
おじゃんになったとわかって初めて、自分はその「計画」に依存して「計画」のために生きていたのだな、ということがはっきりとわかった。もっと言えばどうして無職になったんだろうとさえ、少し思っている。
あまりにも無鉄砲だった。
気力が湧かないのだ。
かと言って、自宅のベッドにひっくり返って徒に時が流れるのを眺めている気分にはなれない。
想定してなかった訳ではなかったのだけど、うまく行くことばかり考えていた。
その計画がうまく行かなかったとして、次の道だって考えてはいた。
けれど、本当に駄目だったとわかった今、結局その先の道さえも「計画」ありきでしかなかったんだなと思った。
今ここで、世界の裏側に逃げ出したって、何も変わらないのだろう。
ただ、どうしようもなく立ち竦んだとき、俄に時間というものが怖くなった。
何の柵もない今の状況が恐ろしくなった。
このまま、先の計画も全てうまく行かないような予感がする。カレンダーの、もう無意味になってしまった予定がただ虚しいだけだ。
未来が、急に見えなくなった。
これから、自分はどこへ行くんだろう。
どこへいけば、いいんだろう。
わからない。
時間だけが、少しずつ過ぎていく