絶交、という言葉とは長いこと無縁で生きてきた。
人よりは所属場所を転々とする人生を送っているので、いつの間にか疎遠になってしまった人の数は多い
いつが明確に最後、というような別れはほとんどないし、あったとしても「別にいつか機会があれば会える」というようなものだ。実際、何年も経った後に意外な人と再会して巡り合わせの不思議さに驚くことも多い。
自分のスタンスとしては「来るもの拒まず、去るもの追わず」という感じだ。そもそも縁の生殺与奪の権がこちらにないものが多く、切られてしまうのを受け入れる、というパターンの方が多かった。
だけど最近、立て続けに自分から縁の糸を切ってしまう経験が続いている。
鋏を手に取って、縁の糸を切るように言葉をかけるのはとても難しい。
波風を立てないように、自然と距離を置いて縁が解けるのを待てばいいだけではないか、というふうにも思う。
切ってしまった縁は、なかなか結び直すことは難しい。自分で切ってしまうとなると、尚更。
解けてしまった縁ならば、また巡り合わせがあれば結ぶことができる気がする。
そういう思いがけない巡り合わせに出会うことがあるから、私は何となく生き続けているような気がしている。
思い惑い、鋏を置くことの方が多かったけれど、切ってしまった。
ぷつり、と。
切った途端、解けた相手の糸の端が見えなくなった。
別れを切り出す辛さ、というのはこういうことなのかもしれない